ささがねの ゆらら琴のね

~ いにしへの和歌招く響き ~

琴奏・小田原城を臨み 秋風と虫の声と共に

小田原駅前商業公共施設・ミナカ小田原の展望庭園にて、

小田原城の夜景を臨み、琴を弾きました。

 

秋らしく涼しい風の吹く中、虫の声がほのかに聴こえます。



琴奏・小田原城を臨み 秋風と虫の声と共に - YouTube

サムネイル画像を入れるのに、初めて成功しました。

 

動画とはいえ、かろうじて夜景が見える定点にカメラを置くのが精いっぱいなので、

音のみ聴き流して、風情のみ感じていただければ幸いです。

 

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小田原駅は、帰省や西向の際に中継で必ず降りているけれど、駅舎が新しくなって以降、駅から出たことがなかったので、ターミナルからこんなに綺麗にお城が見えるとは知らず、

(旧駅舎はビルじゃなかったから、駅からお城は見えなかったような…)

特に駅ビルから続くミナカ小田原が、街道宿場町を再現した町並みに作られていることも初めて知りました。

 

日が暮れると、さらにいい風情。

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ずっと東海道線から眺める程度で、これまで小田原城に行ったことがあったか覚えてない。子供の頃に行ったか?以前、象とかいたっけ?

そんな具合で、記憶も定かでないから、ほぼ初めてといっていい感覚で、小田原城址公園まで行ってみました。

 

駅から少し離れてるかと思っていたら、散歩がてら歩くのにちょうどいい距離で、城址公園内も散策路として広すぎず最適な規模に整備されていました。

猿の檻があったり、小さな遊園地があったり、二宮尊徳翁を顕彰する「報徳二宮神社」もあり、

地元にも観光客にも楽しく親しみやすい憩いの場という感じ。

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戦国時代の北条五代の栄華と、豊臣秀吉が全国の武将を率いて攻めた歴史舞台として有名ですが、

北条氏の頃の小田原城は、まだ天守などない平城だったそうで、

対する天下人秀吉が建てた一夜城は、短期間で建てたとはいえ、まだ関東で類を見なかった、石垣も天守も備えた山上の堅城とのこと。

 

小田原駅側の展望庭園から、今の小田原城天守を臨むと、その向こうに見える山に築かれたであろう一夜城をそのまま連想してしまい、

当時のこの地から見えた一夜城は、どれほど脅威的驚愕的に見えたろうと、ドキドキしてしまいます。

…戦国って、片側のめざましい華々しさが、どちらかの悲劇と滅亡になるわけなので、想像するのがちょっと苦手で、このあたりの歴史は教科書的にしか知っていないのですが。

古城とはまさに盛者必滅、兵どもが夢の跡、なんですよね。

 

北条氏が退いたあと、徳川期に修復されて今の城郭が造られたせいか、石垣も立派で、どことなく江戸城跡の造りを簡素化したような印象があります。

お城のことは詳しくないし、たくさん観てるわけではないから、単に印象だけですけれど。江戸城跡には仕事で長くいたことがあるもので…

 

今回は天守に上がらなかったけれど、海と山とに囲まれた絶景を一望でき、天然の要塞の趣を実感できるのでしょうから、

高層建築なんか他にない時代には、一国一城、まさに昇りつめたような気分だったでしょうね。

 

今のお城自体は、戦後に忠実に再建されたものだそうで、

ここもご一新後の明治以降にさまざま変遷があったものの、象徴的な場所だけに軍事施設や御用邸などがあったせいか、風格を残しています。

しかし威風堂々としていながら、今は尊厳よりも、地元に根ざして親しみやすい、身近な優しい風情に思えました。

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同県内だし、乗り換えなしの電車一本で行けるエリア、でも、これまで歩いたことがなかった、風情ある城下町・小田原。
今さらながら、大好きになりました。ちい旅がてら、また行きたいな。

 

本当は城址のどこか、人けの少ない静かなところで、琴を弾きたいと思って行ったのでしたが、混みあってはいなかったものの、どこにも人が憩っていて、ひっそりと…というのは難しかったです。それだけ親しまれている場所なのですね。

ご奉納とか人前で弾くための場以外の時、個人的に神社や史跡や公園などで弾く際には、なるべく人のいない密やかな場で、その土地と対で向き合うようにして弾くのが常です。

結局、小田原で弾けたのは、ミナカ小田原の展望庭園だけでした。ここも足湯スペースがあったり景色がいいから、もちろん人はいますけれど、端っこはそこそこ穴場だったので、

お城と海や山を眺めながら、空に近い緑のあるところで弾けて、心が解き放たれるように、幸せでした。